No.18(イラン文明) :
「パルティアとササン朝の違いとは何か?」
パルティアは遊牧民のイラン人がセレウコス朝から独立して建てた国で、シルク=
ロードで東西交易を行って繁栄したヘレニズム的な文化の国。ササン朝は農耕民
のイラン人による建国で、シャープール1世とホスロー1世のそれぞれの治世の時
代が全盛期だった。イランの伝統文化に戻り、ゾロアスター教が国教化され、さらに
融合宗教のマニ教が生まれた(追放される)。ササン朝の美術・工芸は、遠く日本
にも影響を与えている。
<評価の観点>
関心・意欲・態度:
前王朝を否定することで自らの正統性を強調するという歴史パターンに、大きな興
味を持って学習に臨んでいる。
思考・判断:
時代背景としてのヘレニズムがパルティア時代のイラン文化の特色を決定したこと
や、そのパルティアを否定することでイラン伝統文化に回帰したササン朝の特色に
ついて、比較文明史的に考察している。
資料活用の技能・表現:
パルティアとササン朝それぞれの貨幣を写真資料で比較することによって、時代背
景や成立事情等の両者の相違点を明確にしている。
知識・理解:
江戸時代を否定することで自らの正統性を強調した、我が国の明治政府の例を挙
げながら、ギリシア人支配を退けた後の古代イランを代表する、パルティアとササン
朝についての基本的な知識を身につけている。